プラプラと歩いて適当な屋台で昼を済ませ、

 

 

 

 

とりあえずシンガポールといえば「マーライオン」だと、

 

 

 

 

私は夕飯まで時間を潰そうと観光をしてみることにした。

 

 

 

 

シンガポールというのは東京都よりも小さな島で、

 

 

 

 

その昔にイギリスが統治していたというのは知っていた。

 

 

 

 

彼女が言うには、歩きタバコをしたり横断歩道以外で道路を渡ったり、

 

 

 

 

電車内で切符をカチカチ鳴らしたり、

 

 

 

 

車両間を無意味に移動をした場合、

 

 

 

 

見つかれば罰金となるらしい。

 

 

 

 

そんなルールに小うるさい国のようなので、

 

 

 

 

お金の無い私は無意識のうちにやらぬよう注意してマーライオンへ向かった。

 

 

 

 

駅に着くと電光掲示板には赤い文字が光っており、

 

 

 

 

なんだか30分ほど遅延状態が続いているようであった。

 

 

 

 

しばしホームで待つと電車がやってきたが人でパンパン状態であった。

 

 

 

 

別に急ぐ理由もないプー太郎の私は2本ほど見送ったが

 

 

 

 

それでもパンパンであった。

 

 

 

 

これでは埒があかないと私は比較的空いてる車両を見つけ乗り込んだのだが、

 

 

 

 

中に入ると意外に人がまばらであった。

 

 

 

 

というのもこの国は駅についてもドアの前から微動だにしないため、

 

 

 

 

その人らを押しのけて出たり入ったりするしかないのであった。

 

 

 

 

なんという個人主義なのだろう。

 

 

 

 

出入りする人に悪いという公共に対する意識がなさそうだ。

 

 

 

 

そんな所からも日本との違いが見えてくる。

 

 

 

 

車内放送や駅の表記などからこの国では全てが英語のようであるが、

 

 

 

 

電車内の人々の口から出てくる言葉は中国語であったり

 

 

 

 

マレー語やヒンディー語なのかとにかく多種多様であった。

 

 

 

 

異文化で多宗教の人々を国民としてまとめるには、

 

 

 

 

共通語というものや罰則が必要なのも頷ける。

 

 

 

 

そんなツアー旅行では見れない庶民の生活を垣間みながら、

 

 

 

 

私は目的地である駅に降り立っていった。

 

 

 

 

8車線もある広い幹線道路の歩道を、

 

 

 

 

私はバックはストリートボーイズをCDプレーヤーに入れ、

 

 

 

 

ヘッドホンで聴きながらひたすら歩いていた。

 

 

 

 

お金は無いが丈夫な身体と有り余る時間がある人というのは、

 

 

 

 

とにかく元気に歩くのが良い。

 

 

 

 

時間も潰せるし何より健康にいい。

 

 

 

 

シンガポールは歩道もしっかり舗装されており、

 

 

 

 

テクテクと歩くには意外に良いものであった。

 

 

 

 

230分ほど歩いたであろうか、

 

 

 

 

周囲が開けた海岸沿いとなり修学旅行の学生の集団が見え始めた。

 

 

 

 

そちらの方に近づいていくと、

 

 

 

 

白い柱の前で皆んな集合写真を撮っている。

 

 

 

 

柱の向こうからは水が噴き出ているので、

 

 

 

 

あれが噂のマーライオンなのであろう。

 

 

 

 

私はそのマーライオン目指して正面に回り、

 

 

 

 

曇りなきまなこで見定めてみたが、

 

 

 

 

なんて事はない、ただの白いライオンの顔した魚から

 

 

 

 

水がバァ〜しているだけであった。

 

 

 

 

歴史的になぜこのライオンが作られたかも知らないため、

 

 

 

 

想像以上の「ふーん」で私の観光名所巡りは終わってしまった。

 

 

 

 

この白けすぎた経験が私の名所巡りは一生幕を閉じたといっても過言ではない。

 

 

 

 

こんなに汗だくになってまで歩いてきたのだが、

 

 

 

 

労力に見合わない脱力感だけが残ったのだった。