夜逃げにあう

夜逃げをした部屋の
残置物撤去の立ち会いに行ってきた。
賃貸管理をしていると、
なかなか普通の人には起きない事が起きる。

今回1年半ほど住んでいた外国人が
突然居なくなった。

「年明けに国に帰るから解約したい」と
LINEで申し出があった。

退去までに未払いの清掃費用を
支払うようにと伝えると、
その日から音信不通となった。

そのうち周りの住人から
「102の部屋のモノが共用部に置いてある」
と連絡が入り、
現場に行ってみると階段下に
荷物というかゴミが積まれていた。


あっぱれだ。

あとは知らねぇ感たっぷりの
気持ち良いぐらいの遺棄っぷりだ。

「夜逃げ」という、
申し訳ない後ろめたさが
1ミリも感じ取る事ができん。

通報してきた人によれば、
「もう102は住んでいませんよ」と。

部屋を確認をしにいくと、
鍵は施錠されておらず、
さらに持ち出せなかった大きなゴミと
大型家電が置き去りにされていた。

その後は立ち合い日にも現れず、
家賃も何ヶ月も滞納したまま、
消息を経ってしまった。

後日、Facebookには
国に帰った彼の
盛大な結婚式がアップされていた。

日本の感覚でいうなら
「周りに迷惑かけるな!」とか
「そんな金で結婚式して幸せか?」とか、
「アイツはセコくてガメつい奴」となるが、
日本の常識は世界の非常識である。

はっきり言おう。

やられた方が甘ちゃんで、
騙される方が悪いのだ。

ルールがあってもバレなきゃいいのが、
世界のスタンダードである。

警察官ですら金さえ払えば、
いとも簡単に買収できるのを、

ほとんどのピュアな日本人は知らない。

彼らは金に汚いのではない。

当たり前のことをしただけだ。

日本で金を稼いで、
さらに家賃も払わずに、
せっせと金を貯めてサラッと国に帰る。

金に綺麗とか汚いとか、
お金を稼ぐのに、
「あなたの考え方」を問う国は、
おそらく日本人のみだろう。

「金、金ってさ、
金しかお前の頭にねーのか?」と
日本人は「お金の見方・とらえ方」に
その人の人間性を見い出そうとする。

しかし世界基準は違う。

「とにかく金」である。

世界の多くの人は金に貪欲であり
露骨に執着している。

それを「卑しさ」と見るか、
「世界標準だ」と見るかで
私の今後は大きく変わっていくのだ。

日本の常識を全面に出して、
弱肉強食の世界の人々と
まともにビジネスをするには、
あまりにも危険すぎると思う。

だからこそ私は性悪説に立ち、
世界基準で来られても、
「負けない仕組み」を作っている。

逃げるのを前提として、
オーナー負担がかからないよう、
最後の最後まで拾い上げてある。

だから今回のような事があっても、
想定内であり、
慌てふためくことはない。

用意してあるカードを切っていけば、
流れるように淡々と処理されていく。

もちろん滞納していた家賃も、
未払いの清掃費用も、
撤去費用も原状回復費用も、
きっちり全額回収できるのだ。

消えた借主と戦うことなく、
仕組みというシステムを使って
戦わずに勝つこと。

気合と根性で全額回収してこい!なんて、
とてもじゃないが美しくない。

「パートさんの作業レベルで出来る」
それでこそ美しい仕組みといえる。

私たちが日頃磨いている仕組みは、
こういう有事の時こそ、
静かに活かされるのである。